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日本におけるAI導入の最新動向についてCFOに調査〜調査結果から得られた知見とは?

日本におけるAI導入の最新動向についてCFOに調査〜調査結果から得られた知見とは?

人工知能(AI)は世界中で財務リーダーシップのあり方を大きく変えつつあり、日本においてもこの変革は特有の課題と機会を伴っています。Kyribaが実施した最新のグローバルCFO調査では、250名の日本のCFOからの知見をもとに、財務分野におけるAIの役割に対する見解が明らかにされています。この調査では、AIの戦略的な利点に焦点を当てる一方で、セキュリティ上の懸念や地域特有の課題といった障壁についても取り上げています。

日本とグローバルのCFO双方で共通して浮かび上がる重要なテーマの一つが「信頼のギャップ」です。データセキュリティ、正確性、倫理的リスクに対する懸念があり、財務分野でのAIの可能性を完全に活用できていません。それでもなお、日本の財務リーダーたちは、AIが戦略的成長を促進し、意思決定を改善し、労働力不足や経済リスクといった課題に対応する潜在能力を持つことをますます認識しつつあります。

伝統から革新へ―AIが日本の財務分野をどのように変革し、CFOの役割を再定義しているのか、その詳細をご紹介します。

日本におけるAI導入の主要なトレンド

・CFOが指摘するAI導入のセキュリティ懸念
日本のCFOの68%が、AIに関連するセキュリティとプライバシーリスクについて重大な懸念を抱いています。データ漏洩、正確性、規制遵守といった課題が、AIの採用に対する信頼を妨げる要因となっています。

CFOは戦略的取り組みとしてAIを活用する予定
日本のCFOは、リスク管理(29%)、戦略的プランニング(28%)、意思決定の向上(28%)といった高水準のタスクにAIソリューションを活用しています。これにより、AIの役割は業務効率化だけでなく組織の中核的な優先事項の推進へとシフトしています。

財務リーダーシップの進化を促すAI
AIはCFOの役割を再定義しており、44%のCFOが、将来のCFOが習得すべき重要なスキルとして、AIの重要性を強調しています。

注:このグローバル調査は、売上高1億ドル以上を生み出す企業の1,000名のCFOから得られた知見を収集したもので、日本からの回答者は250名を占めています。多くの調査項目では、回答者が複数の回答を選択する形式でした。そのため、四捨五入の関係で、パーセンテージの合計が必ずしも100%になるとは限りません。

信頼のギャップが日本におけるAI導入を妨げる

グローバル調査の結果と同様に、日本のCFOも財務分野でのAI導入と活用に関して、セキュリティ、プライバシー、倫理的課題に起因する信頼の問題から、重大な懸念を表明しています。AIソリューションに対する不信感は理解できます。AIがデータや数値を誤って解釈する可能性があるからです。しかし、人間による強力な監視と適切な安全対策があれば、CFOはAIを活用したツールを使用して財務業務を改善できます。

財務および資金管理部門でのAI導入に関連する最大の課題を尋ねたところ、AIシステムへの信頼構築が導入への重要な障壁であることが明らかになりました。日本のCFOは、セキュリティおよび倫理に関連する問題を最大の懸念事項(30%)として挙げ、次にリソース配分(18%)、既存の技術基盤の不足(17%)が続きました。

財務業務におけるAIの活用を考慮する際に、日本のCFOの3分の1(33%)が従業員の認識を最大の懸念事項として挙げており、実装(32%)、正確性(31%)、規制遵守(31%)、機密情報のセキュリティや漏えい問題(30%)がこれに続きます。

財務業務におけるAIの活用についての日本のCFOの主な懸念点

財務業務におけるAIの活用についての日本のCFOの主な懸念点

興味深いことに、従業員の認識はグローバル調査では7位にランクインしましたが、日本ではAI導入を妨げる要因として1位に挙げられています。

「従業員の認識が日本で1位にランクされる理由の一つは、協調性と相互尊重を深く根付かせた職場文化にあります。日本のグループ志向の意思決定アプローチは、AI導入のような技術的変化は、調和と集団的成長を促進するという形で導入されるのです。この慎重で包括的なプロセスにより信頼が構築され、従業員はAIを混乱をもたらすものではなく、自身の役割を支援するツールとして見るようになり、人間中心のイノベーションアプローチが強化されます。

こうした信頼性に関する懸念に対処するため、Kyribaは信頼に基づくAIフレームワークを開発しました。信頼に基づくAIは、セキュリティ、透明性、倫理的実践を重視し、AIソリューションが組織の価値観と整合し、導入に対する自信を育むことを保証します。」

-Kyriba Japan マネージングディレクター 大津陽子

AIの可能性は否定できないものの、調査結果は従業員やステークホルダー間での信頼関係を構築するため、AIシステムがセキュリティと説明責任を優先する必要があることを示しています。この信頼のギャップは、より広範な組織的リスクにも及び、日本の財務リーダーの68%が、セキュリティとプライバシーをインフレ/生活費(73%)、市場のボラティリティ(73%)、金利(67%)と並ぶ重要な外部課題として挙げています。

これらの懸念は、CFOがAI特有のリスクに慎重である一方、セキュリティをより広範な組織的課題として認識していることを示しています。この不信感の影響は深刻です。セキュリティとプライバシーに関する懸念が解決されないままならば、組織はAIの潜在能力を完全に引き出すことが難しくなる可能性があります。

このギャップを埋めるには、堅牢なセキュリティ対策を通じて信頼を構築することが不可欠です。包括的なセキュリティプロトコルを導入することで、CFOは自信を持ってAIを導入し、イノベーションを推進し、意思決定を強化し、現代の財務の複雑性を効果的に管理することができます。これらの対策がなければ、信頼のギャップは解消されず、AI導入の妨げとなるでしょう。

「AIに重点を置いたスキルは、財務担当者がAI技術を自信を持って活用し、AIシステムによる意思決定の透明性と理解可能性を確保することで、信頼のギャップを埋めることができます。…人間の専門知識とAIの分析能力を組み合わせることで、組織はより情報に基づいた意思決定を行うことができます。」

-Kyriba チーフAIオフィサー Morné Rossouw

グローバルCFO調査でインタビュー全文をご覧ください。

財務分野におけるAIの可能性を切り開くための慎重さの克服

AI導入を巡る課題は多岐にわたるものの、財務のレジリエンスとイノベーションを推進する可能性は否定できません。CFOがAIを活用したソリューションを信頼すれば、業務効率の向上、より正確な財務インサイト、戦略的イニシアチブに集中するための時間的余裕といった多くの機会や利点を引き出すことができます。

差し迫った懸念があるにもかかわらず、日本のCFOはAIの変革の可能性を認識しています。

  • 81%が、財務および資金管理の業務でAI技術を採用する準備が少なくともある程度できていると感じています。

  • 92%が、ビジネス業務におけるAI統合を優先事項として位置付けています。

  • 日本のCFOの25%が、財務上の意思決定プロセスの大半でAIを活用しており、米国(56%)、英国(50%)、フランス(36%)のCFOに比べて慎重なアプローチを示しています。

日本におけるAI導入のペースは、慎重かつ戦略的なアプローチを反映しています。日本のCFOのうち、今後12ヶ月以内に財務および資金管理業務でAIを統合する計画を立てていると回答したのはわずか16%で、グローバル全体の36%と比べて低い割合となっています。この数字は徐々に増加し、今後1〜2年以内にAIを導入することを目指しているCFOは45%に上ります。この慎重な進捗は、長期的な組織の優先事項と整合させつつ、日本特有の文化的および業務上の課題に対応しながらAIを統合することを重視している日本の姿勢を示しています。

日本のCFOは慎重なアプローチを取っているものの、AIの大きな利益を明確に認識しています。AIの能力を活用することで、企業は市場のボラティリティ、インフレーション、関税、地政学的な不確実性といった課題への対応力を向上させ、より機敏な行動が可能になります。特に、日本のCFOの41%が、これらの外的プレッシャーに対処するための最優先戦術としてAIを挙げています。

日本のCFOへの調査結果は、財務業務の改善と革新のためにAIを活用することへ関心が高まっていることを明らかにしています。財務業務でAIを活用することの可能性について何に最も期待しているかという質問に対し、日本のCFOは次のようなポイントを挙げました。

日本のCFOの財務におけるAIの可能性への期待

日本のCFOの財務におけるAIの可能性への期待

組織がAI主導の財務変革を受け入れるにつれて、効率性、精度、コンプライアンスの向上に加え、財務業務における費用対効果と収益成長もますます促進します。

グローバルおよび日本の調査結果の両方で、CFOはAIを活用して意思決定を強化し、戦略的成長を推進する価値をますます認識していることが明確に示されています。2025年から2026年にかけて、資金管理業務でAIをどのように活用する計画があるかについて尋ねた際、日本のCFOは以下のような活用方法を挙げています。

日本のCFOは財務業務にAIをどのように活用する計画か

日本のCFOは財務業務にAIをどのように活用する計画か

これらの調査結果は、CFOがAI主導のアプローチをどのように認識しているかについての変化を示しています。従来のように基本的な自動化や業務効率化のツールとして捉えるのではなく、大多数のCFOがハイレベルな戦略的変革を推進する原動力としてAIを捉え始めています。AIモデルの導入に遅れをとる組織には、競争に取り残されるという明確なリスクが存在します。

日本における伝統と革新のバランス

日本におけるAI導入への取り組みは、ロボット工学やAI搭載ハードウェアの分野での顕著な進展を背景に、テクノロジーのリーダーとしての評判を裏付けています。例えば、AI駆動のカスタマーサポートシステムやロボット介護アシスタントが、労働力不足や高齢化社会といった社会的課題に対処するために配備されています。企業は、AIの生産性向上の可能性に期待を寄せており、一部では自動化による労働力不足解消を見込む声もあります。さらに、AIは脅威の検出や防御策の効率化により、日本のサイバーセキュリティ分野におけるスキルギャップ解消にも重要な役割を果たしています。これらの取り組みは、日本がAIを活用し、テクノロジー分野における日本の地位を維持する一方で、経済的および人口動態的な課題にも取り組んでいることを如実に示しています。

しかし、日本でのAI普及を阻む重大な障害も存在します。特にデータプライバシーや誤情報に対する懸念により、急速な技術的変化に対する文化的な慎重さ——が、特に高齢者層での受け入れを遅らせています。また、日本は技術的な課題にも直面しており、制限されたデータの可用性や国内AIソフトウェア開発能力の不足が問題となっています。これらの要因により、生成AIソフトウェアを含む海外で開発されたAIモデルの使用が進んでいるのが現状です。この状況は、国内のイノベーションとAIテクノロジーに関する包括的な教育の緊急の必要性を浮き彫りにしています。しかし、こうした課題にもかかわらず、日本の慎重でありながら先見性を持ったAI統合へのアプローチは、技術的進歩と社会的優先事項のバランスを取ることを目指しています。

AIソリューションがCFOリーダーシップの未来を形作る

日本のCFO調査から得られた重要な知見の1つは、AIがCFOの責務を再構築しているという点です。繰り返し作業の自動化からデータ駆動型の意思決定を可能にするまで、AIソリューションはCFOの役割そのものを再定義しています。

今後5年間で自身の役割に最も大きな変革をもたらすと予想される要因について尋ねたところ、日本の財務リーダーたちは信頼のギャップという課題を強調しました。CFOは、セキュリティインシデントの頻度と影響(39%)を最優先事項として挙げ、その次にAIの影響(38%)と経営幹部の後継計画(38%)が僅差で続きました。さらに、34%は退職、離職、世代交代といった労働力の変化を挙げています。こうした労働力に関する懸念は、日本の人口高齢化と労働市場への影響に関連していると考えられます。

「従来はコンプライアンスと報告業務に重点を置いてきたCFOが、今や戦略的アドバイザーへと進化しています。AIは私たちの取引業務の負担を減らし、予測的なインサイトを解釈し、長期的な戦略を導くことを可能にします。CFOの役割は、単なる数値の分析から、データを組織全体の目標と結びつけるものへと変わりつつあります。」-Kyriba、CFO Adam Drew

Adam Drewへのインタビュー全文は、グローバルCFO調査でご覧いただけます。

日本のCFOも、グローバルのCFOと同様に、AIリテラシーが将来的に重要な基本スキルになると予想しています。将来のCFOが学ぶべきスキルとしてますます重要視しているものを尋ねたところ、AI/テクノロジースキルが44%で、リスク管理の47%に次ぐ結果となりました。

日本の調査結果は信頼のギャップという緊張関係を改めて浮き彫りにしています。この結果は、日本の財務リーダーが競争力を維持するためにAIやテクノロジースキルを不可欠としながらも、セキュリティやリスク管理の重要性も強調していることを示しています。これらの調査結果は、日本の財務リーダーがAIアルゴリズムを将来の財務リーダーシップを形作る重要な要因として認識し始めていることを示唆しています。AIはイノベーションを推進し、伝統的な役割を再定義し、急速に変化する経済環境のニーズに対応する力をもたらすでしょう。

AI導入が財務業務を変革する

日本のCFOを対象とした調査結果は、業務の効率化から戦略的意思決定の推進まで、AIツールが日本におけるCFOの責務を根本的に変革している状況を示しています。しかし、この変革には、安全性とデータのセキュリティに関する大きなAIへの信頼のギャップという課題が伴います。これらの要因に加え、高齢化社会がもたらす労働力の変化が、日本の財務リーダーにとって独特かつ複雑な状況を引き起こしています。

こうした障壁にもかかわらず、日本のCFOはAIを財務業務に統合するために慎重かつ戦略的なアプローチを示しており、AIのイノベーションを促進し、レジリエンスを高める潜在能力に着目しています。信頼のギャップを埋めるためには、強固なセキュリティ対策を講じ、AIリテラシーに投資することがAIの潜在能力を最大限に引き出すために重要となります。日本におけるAI導入の動向は、イノベーションと慎重な計画のバランスを取ることで、CFOが急速に進化する金融の未来の中で自らの組織を率いていく準備を整えていることを示しています。

CFOや財務リーダーが最新のAIツールとインサイトを駆使し、最適な流動性パフォーマンスを実現する方法については、Kyribaの取り組みをご覧ください。

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