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トレジャリーデータをエンタープライズアナリティクスに組み込む

データ&アナリティクスの現場で20年以上、テクノロジー/データ/財務(トレジャリー)チームと議論を重ねてきたなかで、常に立ち返るシンプルで奥深い問いがあります。「信頼できるデータを、必要とする人が、使い慣れたツールで活用できるようにするにはどうすればよいか」。

多くの企業は、BI プラットフォーム、データウェアハウス、データレイク、アナリティクス基盤に大きく投資しています。一方で、価値は高いのに統合が難しい領域も残っています。トレジャリーデータはその代表例です。

トレジャリーチームは、流動性、支払、予測、財務コスト、財務リスクを把握するうえで不可欠な情報を管理しています。しかし、こうしたデータは専用システム内での分析や手動エクスポート、IT/データチームによる個別連携に頼ることが多く、企業全体では十分に活用されてきませんでした。

そこで私たちは Kyriba Data as a Service(DaaS)を構築しました。目的は、Kyriba のデータをより扱いやすく整え、企業がすでに採用しているアナリティクスプラットフォーム上で活用できるようにすること。DaaS はエンタープライズ BI の代替ではなく、既存のエンタープライズ BI を補完・強化するサービスです。

DaaS 構築の背景

お客様からは一貫して「既存のアナリティクス環境からトレジャリーデータに直接アクセスしたい」という声をいただいてきました。企業は自社データを、一貫性があり、ガバナンスが効き、スケーラブルな方法で活用したいと考えています。

課題は技術面だけにとどまりません。トレジャリーチームは Kyriba のデータを ERP、FP&A、銀行、支払、運転資本、その他の財務・業務データと組み合わせたい。IT は脆弱なポイント・ツー・ポイント連携や手動エクスポートを排除したい。BI チームは、エンタープライズデータと同様に統合・更新・ガバナンスを適用できる信頼できるデータソースを求めています。

ある調査では、Kyriba のお客様の3人に1人がデータへの直接アクセスを求めていることが明らかになりました。トレジャリーデータを企業のアナリティクス戦略に本格的に組み込みたいというニーズの高まりを示しています。

市場動向も一致しています。PwC の「2025年グローバル・トレジャリー・サーベイ」では、回答者の76%が「データ品質の低さ」を予測業務の主要な障壁に挙げ、65%の企業が財務データへのより直接的・構造化されたアクセスを目的に API 活用の拡大を計画しています。より良い意思決定のためには、より確かなデータが必要です。

エンタープライズ全体でも同様です。大企業は平均して約900のアプリケーションを運用する一方、統合されているのは28%にとどまるという報告もあります。データサイロが重大な経営課題だと認識する経営層も少なくありません。

DaaS が提供するもの

DaaS は標準的な JDBC 接続と OAuth 2.0 認証を通じて Kyriba のデータに安全にアクセスできるようにします。IT/データチームにとって馴染みのある方式であり、各種 BI/データプラットフォームが JDBC と OAuth 2.0 に対応していれば、短期間で接続を実現できます。

さらに重要なのは、DaaS が分析に最適化されたデータ構造を提供する点です。運用テーブルの生データを解釈する必要はなく、ファクトテーブル、ディメンションテーブル、リレーションテーブルといった馴染みのある設計で整理されたデータを利用できます。

実務面では、DaaS はデータ層と可視化層を分離します。Kyriba が構造化されたトレジャリーデータへのガバナンスの効いたアクセスを提供し、そのデータを BI、データサイエンス、社内アプリケーションでどう活用するかは貴社の選択に委ねられます。

また、DaaS は差分更新(インクリメンタルリフレッシュ)をサポートします。タイムスタンプ列を活用し、毎回フル抽出するのではなく、指定日以降の更新分のみを取得することで、パフォーマンス、スケーラビリティ、運用効率を大きく高められます。

IT/トレジャリーチームのユースケース

代表例は、エンタープライズ BI/データウェアハウス/データレイクとの統合です。DaaS により、Power BI、Tableau、Qlik、Snowflake、Databricks などの企業レポーティング/アナリティクス環境で、Kyriba のデータをガバナンスの効いた信頼できるデータソースとして組み込めます。

もう一つは、トレジャリーデータの統合・融合です。Kyriba のデータを ERP、FP&A、人事、銀行、マーケット、業務データと組み合わせることで、財務パフォーマンスをより多面的に把握できます。資金ポジション、支払、運転資本、為替エクスポージャーを、より広範な経営計画プロセスと連動させることが可能です。

履歴分析(ヒストリカル分析)も重要です。業務系システムは日々のオペレーションに最適化されがちですが、アナリティクスチームはより長期の視点を要する場合があります。DaaS は Kyriba の Analytics Data Lake を基盤としているため、トレンド分析、長期予測、コンプライアンス分析に向けた蓄積データへアクセスできます。

さらに、DaaS はデータサイエンスや AI の取り組みも後押しします。AI の価値は基盤データの品質と構造に依存します。ガバナンスの効いた、分析に最適化されたトレジャリーデータを土台にすることで、予測、異常検知、自然言語による分析、予測的インサイトの創出を、より責任ある形で推進できます。

トレジャリーチームにとっての価値は実務的です。Kyriba のデータがコーポレート BI プラットフォームで利用可能になることで、トレジャリーチームは ERP/FP&A/業務データと並べて、流動性、支払、資金ポジション、予測、リスクを横断的に分析できます。これにより、手動のデータ抽出や都度のレポート依頼への依存を減らしつつ、財務・経営幹部向けダッシュボードに対するトレジャリーの貢献を高められます。

個人的な視点から

データ/アナリティクスチームと長年仕事をしてきて、優れたデータ基盤は、うまく機能しているほど目立たないものだと実感します。ダッシュボードの裏側には、モデリング、セキュリティ、更新ロジック、品質、ガバナンス、パフォーマンスに関する無数の意思決定が積み重なっています。そうした取り組みに、私は深い敬意を抱いています。

そうした取り組みに、私は深い敬意を抱いています。

DaaS で目指しているのは、これらの作業の一部をより簡単に、より迅速にすることです。IT が管理するアナリティクスプラットフォームに Kyriba のデータを確実に接続できるようにし、トレジャリーデータがエンタープライズデータエコシステムのなかで本来の役割を担える存在として位置づけられるよう支援します。

最終的に、DaaS の目指すところはシンプルです。企業がすでに持つデータを最大限に活用し、不要な摩擦を取り除き、IT とトレジャリーの連携を促進し、より良い意思決定のために信頼できるデータを届けること。それが私たちの使命です。

Written By

Vincent Siccardi

Vincent Siccardi

Director Product Management, Data, and Analytics

ヴィンセント・シッカルディ(Vincent Siccardi)は、Kyribaのプロダクトマネジメント(Data & Analytics)部門のディレクターです。Data & Analytics分野で23年以上の経験を有します。製薬業界でデータエンジニアおよびチームリーダーとして数年間従事した後、プロダクトマネージャーとしてのキャリアに転じ、クライアントが新しいデータテクノロジーを効果的に活用できるよう支援してきました。2015年にKyribaへ入社し、現在は350社以上の顧客に採用されているAnalyticsソリューションを立ち上げました。ヴィンセントは機械工学の修士号とソフトウェア工学の理学修士号を取得。フランス南部のリヨン在住で、幼い子ども2人の父親です。

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