
2026年、CFO最優先課題を定義する対話の中で

April Moh による
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先週のKyribaLiveで、CFO、トレジャリー責任者、財務リーダーから何度も同じ質問を耳にしました。
コントロールを失わずに、どうすればスピードを上げられるのか?
この問いはセッション内でも取り上げられましたが、それ以上に、台本のない率直な対話――日々の統制と運営の現実に根差した意見交換――の中で繰り返し登場しました。
財務リーダーは今、難しいパラドックスに直面しています。かつてない量のデータとテクノロジー、そして取締役会レベルの注目を集める一方で、責任を持って迅速かつ自信をもって行動するプレッシャーは、これまでになく強まっています。
AIの導入はトップダウンで加速。リアルタイム決済はグローバル・コマースの期待を塗り替えています。地政学的な不確実性により、流動性予測はもはや計画業務というより、日々のリスク管理に近いものになりました。CFOは、誤差の許されない厳格なコントロールを維持しつつ、より速く、より戦略的に動くことを求められています。
KyribaLiveで印象的だったのは、課題そのものの存在ではありません。財務リーダーがそれらについていかにオープンに語り、次に来る波を乗り越える中で互いに学んでいるか、という点です。
特に3つのテーマが心に残りました。いずれも、財務の未来の方向性を示唆しています。
AIはリーダーに、「自分たちは何者で、何のために存在するのか」を再考させている
説明責任が最初の重要テーマとして浮上しました。抽象論ではなく、具体的で実務的な課題として。
AIが実験段階から実務の財務ワークフローへ移行するにつれ、リーダーはもはや「AIに何ができるか」だけを問うのではありません。「AIは何をすべきか、人間が担い続けるべきは何か、そして説明可能な意思決定をどう実現するか」を問うようになっています。
この区別は決定的です。特に結果責任を負う財務リーダーは、ブラックボックスを鵜呑みにすることはできません。私が話したリーダーたちは、人間の判断をプロセスから排除しようとしているのではなく、そのレベルを引き上げ、より迅速で、より十分な情報に基づき、より正当化可能なものにしようとしています。
OpenAIの元Go-to-Market責任者、Zack Kass氏との対話は、この点を一層鮮明にしました。彼が投げかけた根源的な問いは、単にAIが仕事をどう変えるかではなく、より個人的で切迫したものでした。
AIが自分の仕事の一部を担えるようになったとき、私は何で知られたいのか?
この問いが心に残ったのは、議論の重心を「恐れ」から「リーダーシップ」へと移すからです。AIが要約、分析、下書き作成、予測など――これまで私たちの価値の中核だと考えてきた多くの作業――を自動化できるなら、リーダーは自らの真の価値の源泉を再定義せねばなりません。
財務における答えは、単なる技術的専門性ではありません。判断力、ガバナンス、より良い問いを立て、責任ある決定を下し、不確実な局面で信頼を築く力です。
これこそAI時代のリーダーシップの課題。新しいツールを取り入れるだけでなく、知能がより身近に、より組み込まれ、より自動化される世界で、「リードする」ことの意味を再定義することです。成功する財務リーダーは、説明責任をAIにアウトソースしません。AIを活用して、より思慮深く、より決断力があり、より信頼される存在になります。

KyribaLiveのステージ上でのZack氏(左)と私
流動性の可視化がCFOの優先課題になった理由
戦略としての流動性も、繰り返し浮上したテーマです。特に、その「どう語られ、どこで議論されるか」が根本的に変わっています。
長らくキャッシュの可視化は、信頼性に欠けるデータや追いつかないシステムに起因する業務課題と見なされてきました。しかし、トレジャリー機能がより戦略的な意思決定に関与するにつれ、問われるのはもはや「資金はどこにあるか?」にとどまりません。「私たちは流動性ポジションを活かしているのか、それとも足かせになっていないか?」へと進化しています。
この問いは、可視化の役割を変えます。もはや事後的な報告では不十分。組織は流動性をリアルタイムに把握し、意思決定に結びつけ、確信を持って行動するために活用する必要があります。
その結果、流動性パフォーマンスはトレジャリーのKPIにとどまらず、取締役会アジェンダの中心テーマになり始めています。
業界もこの変化を明確に認識しています。トレジャリー/財務の標準設定機関であるAFPが、Kyribaチームとともに史上初のステーブルコインとオンチェーン流動性に関するトレジャリー認定資格を共同開発したことは、トレジャリー実務とトレジャリー・テクノロジーの境界が、看過できないレベルで曖昧になったことを示しています。

AFPの友人、PatとMelissa、そしてKyribaチームと
インフラレベルでのスピードも顕著です。ステーブルコイン決済とリアルタイム決済レールは、トレジャリーチームに求められる統制の在り方を再定義しています。
先週発表された、KyribaとCircleとの直接連携およびステーブルコインのエージェント型オーケストレーションは、流動性環境がいかに急速に進化しているかを物語っています。
ステーブルコイン決済は、もはや将来の検討事項ではありません。可能性の段階に留める組織は、動きの遅さを痛感することになるでしょう。

Circleチーム、Felix Grevy、そして私(左からMike、私、Nikhil、Felix)
財務リーダーがなお直面する、スピードとコントロールの緊張関係
これら2つのテーマの底流には、容易な解のない第3のテーマ――スピードとコントロールの緊張――があります。
取締役会は数時間単位の意思決定を望み、監査人は厳密な文書化を求め、市場は機敏性を要求します。だが「より速く動け」という要請は、それを安全に実現するインフラ整備より先行して到来しました。
テクノロジーは助けになりますが、根底のリーダーシップの問いには答えません。信頼、説明責任、コントロールを維持しながら、どう速く動くか――。
説得力があったのは、一流のリーダーがスピードとコントロールを対立軸としてではなく捉えていた点です。彼らはリアルタイムの可視化を使い、どこで加速できるか、どこで踏みとどまるべきか、行動前にどこで一層のガバナンスが要るかを見極めています。
スピードと可視性。イノベーションと説明責任。テクノロジーと人間の判断。
競合する価値ではなく、単一に統合されたオペレーティング・モデルとして。
信頼をもってリードする
振り返って最も印象的だったのは、規模・業界・地域が大きく異なる組織においても、これらのテーマが一貫していたことです。AIの説明責任、戦略的流動性、そしてスピードとコントロールの均衡。
プレッシャーは普遍的です。
財務機能はいま、真に重要な瞬間にあります。これを定義しているリーダーたちは、確実性を待ちません。スピードかコントロールかの二者択一にも陥りません。双方を同時に可能にする基盤を築き、透明性が信頼を、ガバナンスが正当性を生むことを理解しています。
それがTrusted to Transform(信頼されて変革する)ということです。
この原則を理解する財務リーダーは、すでに一歩先を行っています。そして彼らとその他の組織との距離は、日を追うごとに埋めがたくなっています。
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April Moh
Chief Marketing Officer
エイプリル・モーはキリバのチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)として、ブランド戦略、コミュニケーション、デマンドジェネレーション、プロダクトマーケティング、価格戦略を統括しています。ソフトウェア企業のスケールにおいて20年の経験を持ち、Campaign Magazineの「Most Inspiring Women 2023」に選出されました。Wellesley Information Servicesおよび市民権団体Stand with Asian Americansの取締役も務めています。以前はSUSEのCMOとして、コーポレート・リブランド、大型買収、数十億ユーロ規模のIPOを主導しました。さらに、Microsoft、SAP、Concurで戦略的なマーケティングおよびコミュニケーション施策をリードしました。

