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CFO が財務変革プロジェクトを評価する際に重視する 3 つのリスク要因

By Ron Stott - Translated by Satoshi Takeuchi
Kyriba Value Engineering

トレジャリー・マネジメント・システム (TMS) 導入の社内承認を得るためには、その他のプロジェクトと同様、ソリューションの仕組みやその活用方法、プロジェクトのタイムライン、そして費用とその効果 (ROI) などについてきちんと説明することが求められます。もちろん、多くの財務マネージャーは十分な情報を集めた上で、プロジェクトの申請に臨むでしょう。

一方で、CFO にとっての重要な責務であるリスク管理の価値は十分に考慮されているでしょうか。

以下では、財務変革プロジェクトのビジネスケースを作成する際に、なぜリスク管理に焦点を当てるべきなのかをご紹介します。

トレジャリー・マネジメント・システム (TMS) でリスクを軽減する

CFO は、CEO とともに、株主、証券アナリスト、そして会社が非公開の場合は投資家/オーナーとコミュニケーションをとります。このコミュニケーションは、会社の経営に対するすべてのステークホルダーの信頼に影響します。そして、サプライズほど、投資家や株主の信頼を損なうものはありません。

予想外の損失、予想以上の借入金、その他の KPI には共通点があり、株主や投資家を驚かせることがあります。投資家の期待に悪影響を及ぼすような変化を事前に察知することは、CFO にとって最優先事項であり、これらのリスクに対処することは、トレジャリー・マネジメント・システム (TMS – 以下、TMS と表記) 提案の焦点となるはずです。

CFO が懸念するリスク要因

CFO が懸念するリスクは 3 つの要因に分けられますが、適切な TMS はそれらを軽減することができます。

その 1: 現在の地政学的・経済的環境における不確実性
投資家の信頼を獲得し維持するためには、財務の強さと分析に確信が持てることが重要です。さらに、組織は状況の変化に応じて迅速に行動できる俊敏さを持つ必要があります。予測の正確さ、予測データの迅速な修正、最新データによるマルチシナリオ比較など、CFO の関心事に焦点を絞って話を進めましょう。現在のプロセスは正確ですか?複数のシナリオのもとで、前提条件の変更を評価し、流動性や資金需要を検証するのに機動的な対応が可能ですか?投資家に対して迅速な対応と信頼性のある数値の提供を行うために、予測の柔軟性、正確性、確実性の向上が必要です。

その 2: サイバー犯罪による財務上の損失
COVID-19 のリモートワークへのシフトによって加速され、犯罪者が企業の重要なシステムにアクセスするリスクは爆発的に増加しています。ランサムウェア、フィッシング、重要な個人データの漏洩などをニュースで見ない日があまりないのではないでしょうか。 ChatGPT のような AI ツールが突然マーケットに登場し、CEO や CFO のスタイルを簡単に模倣できることが証明され、話題を呼んでいます。この手法は、ビジネスメール詐欺 (BEC) でよく使われるもので、従業員に幹部からの指示を受けたと思わせ、通常の手順とは異なる取引を開始させるものです。このため、CFO は、より頻繁に詐欺が行われ、成功する可能性が高いという懸念を強めています。

さらに、攻撃を受けた場合の被害は、実際に金銭が詐取された場合よりもはるかに大きいことが多いでしょう。風評被害は将来のビジネスの成長に影響を与え、売上高の損失は数百万ドルにのぼることもあります。インシデントを特定し、再発を防止するための調査と改善のコストは、資金の直接的な損失をはるかに上回ることがあります。このような攻撃を投資家、顧客、当局に説明することは、会社や CFO のキャリアに不利益をもたらします。

既存の TMS ソリューションが、データの暗号化、多要素認証、データやアカウントへの不正アクセスを防止し、アクセスポイントを最小化するための体系的なコントロールを強化していない場合は、コントロール環境を強化するTMSを提案する時期に来ています。

その 3: 事業継続性
COVID-19 をきっかけとした「大規模な退職 (Great Resignation)」の流れを受けて、早期退職、より望ましい場所への移転のための退職、認識されているキャリア機会への不満が増加しています。

また、最近脚光を浴びているのが、退職はしないが、解雇されないために最低限のことはする「静かな退職 (Quiet Quitting)」です。失業率が本来の水準を大きく下回る中、雇用市場が逼迫しているため、雇用主は業績の悪い労働者を解雇することに消極的になっています。

このような雇用動向は、労働者の不満を反映しています。満足度の高い労働力と低い離職率は、CFO にとって極めて重要です。離職率が高いと、新しい労働者の採用や訓練に過剰なコストがかかり、多くの場合、賃金も高くなります。そして、離職率は、ビジネスプロセスにおける漏れやエラーを引き起こし、その結果、債券の支払が滞ってデフォルトを引き起こすなど、企業に重大な影響を与える事件に発展する可能性があります。

また、離職率が上がると、同じレベルの仕事をこなすスタッフの数が少なくなってしまうこともあります。業務の自動化が進まないと、必要なツールの不足を認識することによる従業員のフラストレーションを招き、長時間労働や、仕事を簡素化するツールがある職場を探したいと思うようになる可能性があります。ワークライフバランスを改善する TMS は、今日の CFO にとって重要です。

リスクに焦点を当てる

既存のトレジャリー・プロセスを評価する際には、リスクとそれに対処しなかった場合の潜在的な影響に焦点を当てます。そうすることで、CFO と TMS の導入の可能性について話し合うときに、TMS がいかにリスクを軽減し、組織をより成功に導くことができるかを示すことができるようになるのです。

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