Success Story

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財務戦略強化のためにクラウド型財務管理ソリューションを選択

世界トップシェアのインキ、有機顔料のほか、合成樹脂、電子向け材料などを手がける DIC は、海外企業の買収などに伴い、資金効率の向上とリスク管理の強化が課題になっていた。その解決のために、同社が選んだのが、クラウド型財務管理ソリューション「キリバ・エンタープライズ」だ。

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スピードと将来変化にクラウドで対応

DIC (ディーアイシー、旧大日本インキ化学工業) は、1908 年、印刷インキの製造と販売で創業した。以後、その基礎素材である有機顔料、合成樹脂の技術をベースに、幅広い製品を提供している。

海外進出の歴史も古く、1919 年には中国に進出、現在、世界 64 の国と地域に 174 のグループ会社(うち、海外 143 社 ※2015 年 12 月末時点)を通じて事業を展開している。海外売上高比率は約60% に達しているという。DIC のグローバル展開において、大きな転機の一つが、米国大手化学メーカー、サンケミカルのグラフィックアーツ材料(インキ、顔料など)部門の買収成功であり、その後も積極的な M&A により海外事業の拡大を図ってきた。

「当社にとって大きな財務課題の一つが、グループの資金効率向上による財務体質強化でした。また、海外事業比率の上昇により、為替管理など様々なリスク対応も行う必要がありました」と DIC 財務部長の古田修司氏は語る。

古田氏によれば、以前は資金管理を表計算ソフトのスプレッドシートを使い手作業で行っていたという。財務部グローバル資金管理担当部長の堺公紀氏は「さらに、これらも残高がわかるのは月末時点のものだけで、月中にお金がどう動いているのか、本社から知ることができませんでした」と振り返る。

古田氏は「資金効率向上のため余剰資金の圧縮を目的としたキャッシュプーリング(資金の自動的な集約・分配)などを活用していましたが、効率的な運用には資金の可視化を行う必要がありました」と語る。

口座の預金情報の把握を行うにはいくつかの方法がある。古田氏は次のように話す。

「これまでは、ERP(統合基幹業務システム)から毎月、会社ごとの預金残高を取得していましたが、それでは速報性がありません。銀行の端末から残高を取得することもできますが、口座数が多く煩雑です。そこで、ERP と直接接続したスタンドアローン型の TMS(財務管理システム)導入も検討しましたが、その実現は容易ではありませんでした。」

– DIC 財務部長 古田修司氏

大きな阻害要因はコストと時間だった。170 社を超えるグループ会社すべてにスタンドアローン型の TMS を導入しようとすれば億円規模の費用と、かなりの導入期間が必要だと思われた。「経営環境が刻々と変化している中で、スピードで劣るだけでなく、将来の変化にも対応できません」(古田氏)。

そこで同社が選んだのが、キリバが提供するグローバル財務管理システム「キリバ・エンタープライズ」だ。米国をはじめ世界 1300 社で導入実績があるほか、日本でも大手グローバル企業に採用されている。「キリバ・エンタープライズ」の大きな特長は、クラウドにより提供されることだ。インターネットに接続できればどこでも利用でき、拠点や子会社の増加、その他機能の追加などへの対応も簡単に行うことができる。スタンドアローン型TMS を導入するのに比べれば、コストは大幅に安く、導入プロセスも容易だ。

堺氏は「2015 年の 12 月に契約をして、16 年の 4 月には第 1 フェーズが完成しました。そこでのスピード感と中身の品質を見て、早期に第 2 フェーズに進めると確信しました」と話す。

資金の可視化を実現し、子会社からのレポート集計業務の自動化を開始

DIC ではまず、第 1 フェーズとして、銀行口座の見える化に着手した。SWIFT(国際銀行間通信協会)を利用し、「キリバ・エンタープライズ」に異なる銀行の主要口座の情報を集約したのである。これにより、これらの間でのプーリングが可能になるとともに、主要決済口座の 80% について、資金の可視化に目処が立った。「第 2 フェーズでは、グローバルベースでの資金予測の自動化を行っていきたいと考えています」と堺氏は話す。

銀行口座の可視化により、現在の資金の状況は把握できるが、明日、来週、来月の資金繰りといった資金予測はできない。同社ではグループ企業の ERP と「キリバ・エンタープライズ」を連携させることにより、売掛金・買掛金、借入金などの債権・債務のデータを取り込み、資金予測の自動化に着手する。まさに、グローバルベースでのグループ流動性管理を目指しているわけだ。

「キリバ・エンタープライズ」の導入により、早くも具体的な成果が生まれているという。

「これまでのキャッシュプーリングの管理は、銀行の端末から数字を転記、又は各社から送られてくるスプレッドシートを手作業でまとめていましたが、それが不要になりました。『キリバ』は、スタッフの説明も丁寧でサポートも手厚く助かりました。これまで、スケジュール通りに導入できており、今後のフェーズも早期に実現できると考えています。」

– DIC 財務部グローバル資金管理 担当部長 堺公紀氏

古田氏はさらに、「キリバ・エンタープライズ」を活用した、ガバナンスの強化を視野に入れている。

「当社は2016 年2 月、今後3 年間の中期経営計画『DIC 108』を発表しました。ここでは、基本戦略の一つとして、3 年間で 1500 億円の戦略的投資 (M&A など)を掲げています。グローバルベースでの財務管理もますます重要になります。『キリバ』の活用により、本社主導のガバナンスも実現すると大いに期待しています。」

– DIC 財務部長 古田修司氏
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