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ERP クラウド移行を効率化する方法

ERP (エンタープライズ・リソース・プラニング) の世界で、地殻変動が進行しています。ユーザー企業と ERP ベンダー双方がクラウドへの大規模な移行を推進しており、多くの企業が既にその ERP クラウド移行プロジェクトを完了させています。そして、この先 10 年内に、数千の企業がこれに続くことが予想されています。

しかし、ERP のクラウド移行は、特に IT に関しては、費用も時間もかかるプロジェクトです。エンタープライズ・アプリケーションのデジタル化を推進する企業にとって、今後も社内 IT は大きな負担を強いられることは明らかです。一方で、クラウド ERP ベンダーや SIer (システム・インテグレーター) は、数年にわたる移行プロジェクトから利益を得る準備を整えています。

銀行間インテグレーションにおける課題

企業にとって ERP クラウド移行プロジェクトは、時としてグローバル規模のものとなり、その多くはグローバルの銀行間インテグレーション・プロジェクトの複雑さに取り組む必要があります。

ERP クラウド移行のこの側面において特に困難なものとなる可能性があり、企業と銀行間で様々な調整が必要となります。地域や決済システムによって要求される支払フォーマットは大きく異なります。実際、銀行間インテグレーションは ERP クラウド移行の中で最もリスクが高く、困難な要素のひとつです。

シンプルかつ迅速に

幸い、企業が クラウド ERP移行の大部分、入出金明細と支払のための銀行間インテグレーションを大幅にシンプルかつ迅速に行えることです。Connectivity-as-a-Service (CaaS) – サービスとしてのコネクティビティ (接続性) のプロバイダーは、移行プロジェクトから数ヶ月を削減し、コネクティビティとフォーマットのコストを最大で 80 パーセント削減、予め用意されテスト済みのケイパビリティを提供します。

この eBook では

この eBook では、ERP クラウド移行の支払プロジェクトにおいて注目すべき主要な領域について説明しています。以下の点がが含まれます:

  • 銀行のスケジュールに従う
  • 地域性、銀行、法令上の要因による多様性をナビゲートする
  • 特定のクラウド ERP (SAP、Oracle、Microsoft Dynamics など) とのコネクティビティ
  • リソース上の課題

加えて、ERP クラウド移行プロジェクトを完了するために必要なコストと時間を大幅に削減する方法についても触れています。

銀行・ERP クラウド間インテグレーション: 関係者は誰?

銀行間インテグレーションは他の SI (システム・インテグレーション) とは異なります。現代の企業 IT 部門は異なるバックオフィス・システム間のインターフェースを構築した経験がありますが、これらは通常、追加の人的リソースを必要としない旧来的なインターフェースです。

対照的に、銀行間インターフェースに取り組む際、IT 部門は通常、IT、資金財務 (トレジャリー)、債務担当 (AP)、システム間接続チーム、銀行の技術チームなど、多くの異なる人的リソースを調整する必要があります。さらに、プロジェクトのタイムラインは通常、銀行のスケジュールに依存する形となります。

銀行’・ERP 間インテグレーションは同様に時間のかかる作業です。IT 部門はまずクラウド・ソリューションが ERP と互換性があるかどうかを判断しなければなりません。その後、ERP からデータを抽出して再度フォーマット化 (re-format) する必要があります。IT 部門はしばしば外部のコンサルタントを頼りに、ERP 内のインテグレーションやコア機能を提供する形となります。

さらに、これらの接続の初期仕様が決定すると、テストを行う必要がありますが、テストはめったに初回一回でパス (合格) することはありません。その結果、開発部門はリビルド、再テストを行い、再度、調整作業を行う必要があります。2 〜 5 回のテストが必要になることも少なくありません。

ERP クラウド移行の課題とは?

IT 部門にとって、ERP クラウド移行における銀行間インテグレーションは、更なる課題をもたらします。

銀行のタイムラインで動く

ERP 移行プロジェクトの遅延は、しばしば銀行側の遅れに起因します。企業が主要なバンキング・パートナーと強固な関係を持っている場合、その銀行のプロジェクト・キューを前進させることができるかもしれません。しかし、多くの企業が世界中の数十の銀行を管理する必要があるため、IT 部門はそれらの銀行のスケジュールに従うことを余儀なくされます。これは、テストにおいて、異なるタイムゾーンでの作業や、銀行休日や季節性をナビゲートしていくことを意味します。

地域的な多様性をナビゲートする

「SWIFT が銀行間の標準のメッセージタイプであり、どの銀行でも同じ」というのはよくある誤解です。SWIFT は MT から XML に移行していますが、各銀行は受信ファイルを受け取る方法に関して独自の要件を持っています。

支払種別に関わらず、企業は特定の銀行の要件に正しく沿ったフォーマットでの支払を確実に行い、銀行が支払を完了する上で必要な情報を含む必要があります。ほとんどの企業では、ローバリュー (翌日送金)、ハイバリュー (当日送金)、為替取引など、異なるフォーマットを銀行ごとに複数用意する必要があるかもしれません。

これらの複雑性を考慮すると、IT 企業がこれらの銀行接続や支払フォーマットのテストをすべて完了させるのに 2 年以上かかるのは驚くべきことではありません。

支払のインテグレーションと不正防止

支払のインテグレーションは、不正による脅威が増大している傾向を踏まえると、挑戦的なプロジェクトです。Strategic Treasurer 誌の 2021 年のトレジャリーの不正と統制に関する調査 (Treasury Fraud & Controls Survey) によると、AI (人工知能) や機械学習のような効果的なツールを使用しても、脅威のレベルは、これまでで最も高いとされています。

財務上の損失に加えて、不正事案は企業の風評を損ない、重要なデータや資産の損失につながります。したがって、組織を守るために、ERP インテグレーションによってテクノロジーを活用することが不可欠です。これには、支払ワークフローのデジタル化、コントロールの標準化、包括的なペイメントハブの一機能としての支払のスクリーニングが含まれるべきです。

IT 部門が直面する複雑性

これらの課題に加えて、銀行間インテグレーションは IT 部門に多くの複雑性をもたらします。

IT 部門の限られたリソース

企業の IT 部門は既に数多くのプロジェクトとサポートの要件を広く対応しています。したがって、銀行間インテグレーション・プロジェクトに取り組むための時間の確保は、特に負担が大きいものとなりえるでしょう。

データの再利用性がない

IT 部門が ERP の導入作業を行うとき、銀行間のインターフェースを一回限り行使されるものとして開発しなければなりません。ERP 群はクラウドへ移行しているかもしれませんが、ERP ソリューションは通常、プライベート・クラウドのプロバイダーであり、市場には利用ユーザー企業同志で共有できる、すぐに使用可能かつ再利用性のある銀行フォーマットを備える ERP はありません。

複数のステージング環境

銀行・支払フォーマットの開発は、他のインターフェースやアプリケーションと同様であり、IT 部門は同様の厳格なプロセスを経なければなりません。ビジネスユーザーが新しい支払フォーマットを必要とする場合 (例えば、既存の銀行のための新しい ACH)、彼らはテスト、品質保証 (QA)、ノン・プロダクション (非本稼働)、プロダクション (本稼働) のプロセスを経る必要があります。このプロセスには数ヶ月かかる場合があり、エンドユーザーが支払フォーマットにアクセスできるまでにかなりの期間を要します。

人的リソースの確保

フォーマットがプロダクション段階 (本稼働後) に入ると、IT インフラ部門はこれらのフォーマットを管理する必要があります。これには、銀行の問題のトラブルシューティング、銀行が必要とするフォーマットの編集、新しい銀行を追加するための業務側との協業といった活動が含まれます。企業が契約している銀行の利用規模感に応じて、2 〜 5 名がこれらのコネクティビティを継続的に管理するために確保する必要が出てくる可能性があります。

インテグレーションを容易に

標準的な ERP インテグレーションは長いプロセスであり、IT 部門にとって信じられないほど負担が大きいものです。しかし、より容易な方法があります。先進的なテクノロジー・プロバイダーは、最小限の時間で稼働し、すぐに・さらに現行よりより良い機能性を利用可能な、予めビルドされ、予めテスト済み (pre-built / pre-tested) のコネクティビティ・ソリューションを提供しています。

ERP・銀行間コネクティビティをリードする

Leading ERP and Bank Connectivity for ERP cloud migration

技術的考慮事項

ERP インテグレーションは IT 部門に多くの課題をもたらしますが、銀行と ERP 両方のコネクティビティをシンプルにするテクノロジー・ソリューションを採用することによって、これらの課題を克服することができます。。

コネクティビティにおいて 20 年の経験を持つ Kyriba は、リスクを軽減しながら銀行入出金明細と支払のインテグレーションを行うことができます。API (アプリケーション・プログラミング・インターフェース) の利用により、大幅な効率化が実現できることもあります。

  • ERP 移行プロジェクトの迅速化とコスト削減
    Kyriba のすぐに利用可能な銀行接続の機能性は、銀行間インテグレーションに関する大幅な時間とコストの節約の実現に寄与します。標準的なインテグレーションが数ヶ月のテストを要する可能性がある一方、Kyriba のコネクティビティは事前にテストされ、使用する準備が整っています。
  • 支払フォーマット・ライブラリの利用
    Kyriba はマルチテナント・アプリケーションとして、2,500 社以上のユーザー企業ベース全体が同じ事前ビルド・テスト済みの支払フォーマットを使用する点で、市場において独自です。さらに、Kyriba には支払フォーマットの構築とテストに特化したフルタイムのスタッフがいます。20 年間の開発の結果、45,000 以上の事前開発された、銀行間テスト済みの一意な支払シナリオを提供しています。
  • インターフェースをシンプルに
    ERP と Kyriba の間のインターフェースに必要な IT リソースは最小限です。SFTP と API の両方を使用して、IT 部門からコード仕様を必要とすることなく、すべての支払ファイルを Kyriba の事前ビルド済みのインターフェースに取り込むことができます。
  • より広範なプロジェクトに焦点を当てる
    Kyriba のコネクティビティ・プラットフォームは、IT を銀行間インテグレーションの複雑なタスクから解放し、ERP プロジェクトを期日内・予算内に保つことに集中できるようになります。
  • Swift コネクティビティの試験・認証が不要に
    Kyriba のコネクティビティを使用すると、IT 部門は Alliance Lite2 (AL2) SWIFT コネクティビティを管理する必要がなくなり、年次での試験や認証の必要もありません。
  • 継続的なメンテナンスとサポートの管理
    プロジェクト終了後、Kyriba はすべての継続的なメンテナンスを処理し、ビジネスユーザーのための銀行 IT サポート部門として機能します。銀行間のトラブルシューティングのための専任 IT リソースをおく必要はなくなります。

  • サービスとしてのコネクティビティ (CaaS)
    一元化されたサービスとしてのコネクティビティ (CaaS) を提供することにより、Kyriba は貴社に代わって銀行接続をアクティブにマネージできます。そのため、会社の銀行接続を管理したり、銀行とのファイルテストを実施するためのIT サポートは必要なくなります。また、Kyriba の API 機能により、ERP 内のカスタマイズに要する時間のほんの一部で、新しい銀行を追加することができます。
  • 市場をリードする支払不正検知
    リスク軽減がますます IT において重要となる中、Kyriba の市場をリードする支払不正ソリューションは大きな価値を提供します。このソリューションは機械学習を使用して異常や疑義のある活動を検出、銀行に送金される前に支払を停止して調査を行うためのアラートを提供します。
  • 支払のトラッキング (追跡)
    Kyriba は、4 段階の承認を伴うリアルタイムの支払のトラッキング (追跡) を提供します。SWIFT gpi を活用することにより、Kyriba はトランザクションのライフサイクル全体を追跡することができます。
  • イノベーションとアジリティ・ハブ
    支払テクノロジーは急速な進化を遂げています。Kyriba のイノベーションとアジリティ・ハブは、リアルタイム支払 (RTP) を提供し、他のクリアリング・システムおよび支払ソリューションと接続することができます。
  • スマート割当 (Smart Assignment)
    Kyriba の機械学習は、バンキング・パートナーとそれぞれの支払に関連するコストを把握できます。スマート割当 (Smart Assignment) は、支払を最もコストの低いプロバイダーを通じてスマートにルーティングすることができます。
  • 銀行モニタリング
    Kyriba は、すべての入出金明細ファイルのグローバルの銀行モニタリング機能を提供します。Kyriba のクライアントは、バンキング・サポートをすべてアウトソーシングしたかのようなユーザー体験を得ることが可能となります。
  • 信頼のパートナーシップ
    Oracle GOLD パートナーとして、Kyriba のペイメント・ネットワークは 1,000 社以上の Oracle クライアントをサポートしています。Kyriba の支払ソリューションは、SAP NetWeaver® テクノロジー・プラットフォームおよび SAP S/4HANA との SAP 認定インテグレーションも達成しています。

Oracle / SAP logos

API とコネクティビティ

コネクティビティの未来は API (アプリケーション・プログラミング・インターフェース) テクノロジーにあります。Kyriba はこの点において特筆すべきアドバンテージがあります。トレジャリーとファイナンスのコネクティビティのリーダーとして、Kyriba は API の力を最大化して、ファイナンス・リーダーがデジタル・トランスフォーメーション (DX) を推進し、より情報に基づく意思決定を行うために、どのように支援すれば良いのかを理解しています。

銀行 間 API

API は銀行接続のための迅速な経路を提供するだけでなく、リアルタイムのビジネス・インテリジェンス (BI) とデジタル・ソリューションへのアクセスポイントでもあります。FTP (ファイル転送プロトコル) とは異なり、API はファイルの送信やダウンロードを必要としません。データはシステム間で即座に疎通ポイント間で交換され、即時のデータ伝送を可能にし、リスクを大幅に排除します。

Kyriba は、API を含む様々な接続プロトコルを使用して、2,500 のクライアントの代わりに、毎日 600 以上のグローバルの銀行と接続しています。API 経由で利用可能なバンキング・サービスは銀行によって異なりますが、リアルタイム支払、国内支払、クロスボーダー支払、銀行残高、トランザクション・レポート、SWIFT gpi 支払追跡といったものが含まれます。ユーザーは銀行から即時のレスポンスを受け取り、リアルタイムで新しいデータと通知にアクセスすることができます。

ERP 間 API

Kyriba は ERP システムプロバイダーとも協力して、ユーザーが ERP 外で操作を必要としないように、他のシステムを API インテグレーションを通じてワークフローに埋め込むことができます。これらのアドオンは初期フォーマットを実行し、ファイルを ERP からエクスポートし、API プロバイダーのフォーマットに変換してコネクタにプッシュします。企業のエンドユーザーは自分たちの ERP にAPI をインテグレートすることもできます。これらのプラグ・アンド・プレイのソリューションは、ユーザーが利用するアプリケーションに接続可能な共通の ERP インテグレーションを提供する Open API プラットフォームを通じて容易なものとなります。

Kyriba ユーザーは、利用可能なすべての API と将来的なユースケースをまとめたオンラインカタログを閲覧することができます。例として、以下のようなものがあります:

  • 銀行口座グループ (Bank Account Group):
    この API では、プロセスとレポートのために口座をフィルタリングまたはグループ化する新しい口座グループを作成できます。ユーザーは特定のグループに属するひとまとまりの口座を変更し、グループのプーリング口座を取得または更新できます。
  • 会社 (Company):
    この API では、「会社」のマスタ情報の設定が可能です。ユーザーは国にある会社一覧を取得したり、特定の文字を含む名前の会社一覧を受け取ったり、特定の会社のすべての設定項目を取得できます。
  • サードパーティー (Third Party):
    この API では、ユーザーが管理する取引先・サード・パーティーを管理および設定できます。ユーザーはサードパーティーの詳細情報を取得・更新し、API を介してサードパーティーを作成または削除できます。

Optimized Bank Connectivity flowchart for ERP cloud migration

総括

ERP プロジェクトを展開する際、IT 部門は銀行のスケジュールや仕様に対応することから、地域的な複雑性をナビゲートすることまで、多くの課題に直面します。これらはすべて、既に多くの業務とその負荷がある中での対応が求められます。幸いなことに、Kyriba のインハウス開発による完全な CaaS ソリューションは、すべての ERP ベンダー、社内のファイナンス・システム、サードパーティ・プロバイダー、および 600 以上の事前設定済み、事前テスト済みの銀行とのコネクティビティを包含しており、迅速かつシンプルな ERP 移行を実現します。支払とコネクティビティにかかるコストは大幅に削減され、銀行間インテグレーションに費やす時間は最大 80% 短縮される可能性があります。さらに、IT 部門を銀行の制約から解放することによって、より広範な ERP プロジェクトを期日内・予算内に保つ上で寄与します。

このウェビナー (英語) では、Hilton Grand Vacations が Oracle ERP クラウド移行プロジェクトの一環として 10 銀行以上の 300 の銀行口座を接続する作業を加速するために、Kyriba とどのように資金財務 (トレジャリー) と IT 部門が協力したかについて説明しています。よろしければ、どうぞご覧ください。